ビールと日本酒
2011年 02月 20日 |
銀座「勘兵衛」で。

たびたび、その店の前を通るのだが、まだ入ったことはなかった。何せ、場所は銀座、大通りから一本外れた裏通りで、周りに飲食店もあまりなく、「すし屋の勘兵衛」という暖簾だけが入口にかかった、上品な佇まいの、いかにも隠れ家風の店。もちろん、外からは中の様子を窺い知ることはできない。こりゃあなた、入るのはちょっと躊躇しますよ。一見さんお断り、誰かの紹介がないと入れないのではないか、とも思ったのだが、こういう店で鮨を食べてみたいという誘惑には抗えず、ネットで調べてみる。すると、店の情報は出てくるものの、以前その店が月島にあったときのものばかりで、電話番号も古く、その番号はもう使われていない。

これは直接赴くしかないと、一度意を決して戸を開けたところ、その日は予約でいっぱいで、またお越しくださいと、店の名刺をいただいた。そして、今日、予め電話で予約をし、満を持しての訪問となった。店内は、10人ほど座れるL字型のカウンターと、テーブル席が2つ。どちらも掘り炬燵形式で、靴を脱いで上がる。カウンター席に座り、早速おまかせで握ってもらう。鮨を握るのは店の大将一人だけ。奥さんがお運びを務める。大将は、森山周一郎をスリムにしたようなルックスで、実に気さくな人。一見の我々に、いろいろ気を遣っていただく。「今日のネタはあまりよくなくて・・・」と言うわりには、どれも悶絶するような旨さ。ウニは軍艦巻きにせず、そのまま握り、塩をちょっと振る。付け台に置くと崩れてしまうので、大将が手のひらに載せて差し出すのを、そのまま取って食べる。マグロのヅケはあっさりめ。「あんまり漬けすぎるのは好きじゃないんですよ」と大将。珍しいネタでは、ニシンや鯨の尾の身。あと、ナントカダイとかナントカイカとか、旨かったことしか記憶になく、名前を忘れてしまった(泣)。

門仲「太陽」の店主を知っていて、一時期同じ店で、彼の下で働いていたとか。今、太陽の店主は好々爺という感じだが、「当時は厳しい人でしたね」と言う。太陽に行かれたことはあるんですか、と訊くと、「平日は休めないんで、まだ行ったことはないんですが、行ったとしても、握ってくれなんて恐れ多くて言えません」と笑う。

最後に出てきた玉子焼きが、これが何とも。旨い旨いと食べてたら、お家でも食べてみてください、とお土産に渡された。「明日になったら、出汁が染みて味が変わりますよ」と言われた玉子焼きがこれ。

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何だか美しい工芸品のよう。確かに、前日食べた時より、甘みが増している感じ。醤油も何も付ける必要なし。

鮨、大将の人柄、全てにわたって、期待をはるかに上回る店。そして、鮨に限らず、料理はその人柄が現れる、としみじみ思ったのでありました。
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by haku_mei | 2011-02-20 23:38 | 呑む |