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山口瞳「最後から二冊目の巻 『男性自身』1963-1980」
2004年 11月 19日 |
山口瞳の人気エッセイ「男性自身」シリーズから、単行本未収録の分を集めて2冊刊行するうちの第一弾。
この中に「所沢球場の怪」という興味深い一篇がある。野球ファンである著者が、日本シリーズを観ようと西武球場に出かけるのだが、間違えてバックネット裏席の入り口に来てしまう。持っているチケットでは、正反対の外野席入り口から入らなくてはいけない。球場の職員に「すまないが、ここから入れてもらえないか」と頼むと、「ダメです。今、オーナーがお見えになりますので・・・」とすげなく断られる。この「オーナーがお見えになる」の一言で、著者は「オーナーって何ですか、僕は客じゃないか」と思わず激昂する、という内容。
客を客と思わぬ態度が、やがて株主を株主と思わぬ姿勢につながっていったわけだ。しかし、社内に恐怖政治がはびこれば、当然こうなる。
東証上場廃止で、すぐまたジャスダック上場準備というのもふざけた話だが、西武線が丸ごとなくなってしまうのも困るな。当面、お詫びの意味で、正規の料金の半額で客を乗せる、というのはどうか。
by haku_mei | 2004-11-19 12:30 | 読む |